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2009年5月11日 (月)

球磨川沿いを旅する

人吉1

久しぶりに列車で旅をした。行き先は人吉。九州山地に囲まれた清流と温泉の町である。人吉までどうやって行こうか、と考えてみた。熊本県だろう。だから、熊本空港で降りて、そこからバスで熊本に出て、JRに乗って・・・というのが普通のルートかなと思った。

鹿児島空港から高速バスでというルートもあるなと思った。地図でみる限りでは、熊本空港より鹿児島空港の方が人吉に近いのではないかと思う。だが、紙のうえと現実は違うようである。鹿児島方面からの鉄道ルートはビジネスユースには全く適さない。必然的に肥薩線と平行するように山間を縫う、九州道の方に目がいく。これを使えば楽勝かと思った。がしかし、高速バスの停留所である人吉ICから人吉市内までのアクセスが余りにも悪く、これも「使えねぇ」ときた。

人吉インターから人吉駅までは、歩けないような距離でもなさそうだったが(勿論、そんなつもりは毛頭なかったが)やはり、列車で行くことにした。久しぶりに車窓でも眺めながら、ゆっくり旅しようかなという気分になった。だから、ということではないが、起点を熊本にせず、福岡空港経由で博多から出発することにした。

博多発13時30分のリレーつばめ47号は、熊本駅に14時51分の到着。つばめとの接続を僅か4分でとって、真っ赤なボディの九州横断特急3号が人吉に向けて出発する。4分間のインターバルで済むのは、つばめの着く1番線ホームの八代寄りに切り込み式ホーム0番線(A・B)があり、九州横断特急は、ここで待機しているからだ。博多でチケットを買った時、「つばめを降りて4分で大丈夫かな」とちょっと気をもんだのだが、それは杞憂に終った。

真っ赤な2両編成の特急が熊本平野を疾走する。鹿児島本線は八代まで複線になっており、列車交換でスピードダウンを強いられる単線とは違って、ディーゼル特急の走りは快調だ。ギアチェンジによって、スピードアップ時には「グン」という衝撃をたまに受けるが、乗り心地もさほど悪くない。

人吉2

それにしても、九州の日差しは強い。いつ来てもそう思う。5月は1年の内でも最も紫外線の強い季節らしいが、そのせいだけではなさそうだ。鮮やかな新緑が目に眩い。改めて、列車の旅はいいなと思う。街や川、田園地帯の中をスピードを上げて突っ走る。後ろに飛び退いてゆく家並み、遠くにかすむ山々が旅の実感を豊かにしてくれる。

八代を出るとそれまでの風景は一変する。旧鹿児島本線の肥薩おれんじ鉄道を右手に見ながら、赤い特急は山間に向けて大きくカーブを切ってゆく。しばらくすると、翡翠色の水面が右手に現れた。日本三大急流の一つ球磨川だ。これから暫くは、球磨川沿いの渓谷の風情を愉しもうかと、景観の良い方の車窓を求めて、空いた車内を右往左往(?)してみる。

途中の鎌瀬駅を過ぎると、鉄道好きには有名な球磨川第一橋梁を渡る。この橋は、明治時代にアメリカで作られたという。こんな骨董品のような橋がまだまだ現役で頑張っている。この他にも、肥薩線には開業当時そのままの風情を残す駅舎や、大正時代に作られたというレンガ造りの発電所などが残り、まるでアンティークの宝庫のようだ。

球磨川第一橋梁を渡ると、線路は球磨川の左岸に移る。必然的に車窓から見える球磨川は左手に移り、自分も進行方向に向かって左側の座席に移動した。穏やかに流れていた球磨川も、白石あたりからは早瀬が多くなり、球泉洞、一勝地付近ではこれぞ急流という顔を見せてくれる。ただ、ちょっと残念だったのは、線路に沿って張られた電線が、折角の風景を邪魔するのである。列車の車窓からは殆どが電線のある風景となるので、そういうことが気になる方にとっては、少し興ざめと映るかもしれない。

列車が終点のひとつ手前の駅、西人吉に近づくと、球磨川は線路から離れてゆく。それまでの山間の村という風景から、なんとなく町らしくなるというか、家並みという表現が許される車窓になる。人吉盆地に入ったようだ。車内に到着を告げるアナウンスが流れ出すと、人吉まであと僅かである。

(写真先頭・中間とも肥薩線の車窓から見える球磨川の風景)

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