さらば九州ブルートレイン
博多発7時56分発、「ひかり446号」に乗って小倉まで行き、そこから8時12分発の鹿児島本線準快速で門司に向かう。しかし、改めて思うに新幹線は速い。博多と小倉の間を僅か17分で結ぶのだから。同一区間の在来線を走る特急ソニックの最速列車で40分、ブルートレインに至っては、1時間以上もかかる。旅の意味にスピードを求めるなら、新幹線を選択するのは至極当然のこと。そんなことをつい思ってしまう。
今日は平日だからか、門司駅で「富士」「はやぶさ」を待つギャラリーはそれほど多くない。到着まで30分余りの門司駅4番線ホームには、約20名くらいの人たちが、思い々々のポジションに佇み、列車の到着を待っていた。人数もさほどでもなし。東京駅で待つファンの殺気に満ちたオーラに比べれば、至ってのん気なもの。最初はそんな具合だった。
しかし、列車到着の時間が迫ってくるにつれて、だんだんとギャラリーの数が増える、それに伴って、人々の動きも活発になる。少しでもいい撮影ポイントを求めるためだ。こうしている内に、8時46分が近づく。「間もなく列車が到着します。危ないですから、白線の内側まで下がってお待ちください」というアナウンスがホームに流れ出すと、それまでの空気とは一変し、それなりの緊張感に包まれた。
しばらくすると、関門トンネルの方角からローズピンクの機関車がまるでせり上がってくるように、近づくのが見えた。関門トンネル専用機のEF81だ。寝台特急であることを示すヘッドマークは掲げられていない。下関-門司の短区間においては、昭和59年2月から約2年間、やはり関門トンネルの特殊区間専用機であったEF30が、一時、ヘッドマークを掲げていたようだが、それ以来はないのである。
■ホームの先端で行われる機関車の切離し作業を見ようと集まった人、人
4番線ホームの関門トンネル側で、EF81の到着を出迎えた後、小走りで前方に移動する。急いで前方に行くのは、ホームにいる人たちだけかと思ったら、全然違った。車両のドアが開くと、老若男女が入り乱れて、一斉に駆けてゆく。とにかく凄い人。それに迫力。こちらが、機関車のところに到着した頃には、もう人だかりで、機関車の切り離し作業など見られるような状況ではなかった。
そのうえ、機関車は、ホームの先端近くに設置されている金属製の柵の前方に停まるため、前面が見えないということが分かった。これでは、単独のヘッドマークが拝めないと考えて、向い側の5番線ホームから撮影をすることに決めた。向い側の5番線ホームは、4番線ホームから徐々に乖離してゆくようにカーブを描いているので、被写体は少しばかり小さくなるかも知れない。ただ、5番線ホームにはギャラリーが少なく、今、移動すればお好みのアングルで取れるかなと思った。
実際に、5番線に行ってみて、ギャラリーが少ない理由が分かった。信号機と大きな木が思いっきり邪魔をして、機関車の真ん中をぶった切ってくれたからである。「あちゃ~」とは思った。しかし、これから4番線ホームにリターンしても、良好なポジションを確保するなど、無理のまた無理。そんなことは、向い側のホームから見ていれば一目瞭然だった。
■熊本までの牽引機がしずしずと近づく
そうこうしている内に、前後両面にヘッドマークを掲げたED76が操車係に導かれて、しずしずと青い客車に接近し連結された。「これが、最後のはやぶさのショットかぁ・・・」。デジカメのディスプレイで確認した画像は、赤い電気機関車と青い客車が連結され、ヘッドマークは何とか見える。ただ、機関車の真ん中を信号機とでかい木で見事にちょん切られ、なんとも情けない出来栄えだった。しかし、どうしようもない時間は無情にも流れ、8時59分。寝台特急「はやぶさ」は熊本に向けてゆっくりと出て行った。
■「はやぶさ」を見送った後、発車を待つ6両編成の「富士」
「はやぶさ」が発車した後の、4番線ホームには6両の「富士」が取り残されていた。編成が半分になったので、撮影環境も多少改善するかと思ったが、相変わらず、結構な人数が待ち構えていたので、引き続き5番線ホームから「富士」を狙うことにした。
■大分までの牽引機が連結された「富士」。単独のヘッドマークが誇らしい
9時ちょっと過ぎに、ここから大分まで「富士」を牽くED76が、誘導されて14系15形の青い車体に近づく。「富士」の牽引機の連結は、4番線ホームのだいたい真ん中くらいで行われるので、撮影するポジションとしては、何の問題もなかった。ここで、数枚ほど「富士」をカメラに収めてから、ダメ元で4番線ホームに戻ってみた。「富士」については、機関車が連結されてから、発車まで少し余裕があることと、乗客として乗ってきたギャラリーを「はやぶさ」が半数くらい運んでくれたせいであろうか、発車間近の4番線ホームの込み具合は、全く機関車に近づけないというほどではなく、なんとかED76に近づいて、その姿をカメラに収めることが出来た。
9時10分、少し長めのホイッスルを鳴らし、大分に向けて「富士」は発車していった。こうして、自分にとって見納めになるであろう「富士」を見送った。しばらくすると、ブルートレインが発車するまでの喧騒はどこへやら、発車から5分も経つといつもの門司駅に戻っていた。
出張帰りを利用した「富士」「はやぶさ」見納めツアーは、そもそもこれで終るはずだった。というのも、博多~門司間の旅費は自腹につき、門司から博多までの帰路は普通列車を利用して、旅費の節約を図るつもりだった。だが、「はやぶさ」の撮影がうまくいかなかったこともあり、帰路に利用する予定だった9時17分発鳥栖行きの普通電車の中で「はやぶさ」の博多着の時間を探ってみた。「はやぶさ」の博多着は10時10分だった。
■博多駅2番線ホームに進入する「はやぶさ」
そこで、しばし考えた。新幹線を使えば、博多でひょっとして間に合うかも知れない・・・。再び路線探索サイトで検索したところ、小倉9時40分発の「こだま」で追いかけても、余裕で先回りできると分かった。であるなら、「まぁ、最後だから」と特急券代をケチるのはやめにして、「はやぶさ」を追っかけることにした。こうして、博多駅の2番線ホームに進入する「はやぶさ」をなんとか捉えることが出来た。そのうえ、博多駅の2番線ホームの前方にも回りこんで、ギャラリーでごった返す中、停車中の「はやぶさ」の面をなんとかカメラに収めることもできた。
さて、昨年の同じ時期、「なは」「あかつき」の見納めツアーを敢行した。そのときに比べて、時期が押詰っていたせいか、それとも、いよいよ九州でのブルートレインの見納めだからなのか、ギャラリーの数はその時の比ではなく、かなりのものだった。今後残るブルートレインは、北斗星(上野-札幌)をはじめ4編成のみ。ますます希少化するブルートレイン。そうすると、ギリギリになっての見納めツアーはこのあたりで終わラストせざるをえないかも・・・。
(写真先頭は、門司駅に侵入するEF81牽引の「富士」「はやぶさ」)
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