お昼のB級グルメ(出雲編)
世に名の知れた、所謂、名物そばは数多いものです。例えば、岩手の「わんこそば」や山形県の「板そば」、茨城の「いわし蕎麦」、東京の「深大寺そば」、新潟の「へぎそば」、長野県で作られるそばの総称である「信州そば」など、数え上げればキリがないくらいあります。ただ、こうして並べてみると、東日本産の品揃えが多いように思います。「そば」の文化というのは、どうも、東高西低のようです。
フリー百科時点「ウィキペディア」によると、江戸で「うどん」よりも蕎麦が主流となった背景には、白米を多食する人に見られ「江戸わずらい」と呼ばれた脚気の防止のために、ビタミンB1が豊富な「そば」が良いとされたからだといいます。こうして、江戸時代中期以降から、江戸を中心に東日本では「そば」が定番になっていったのです。
東日本の「そば」に対して、西日本では「うどん」の方が優位にあるのはご存知の通り。西日本の「そば」は、基本的にうどん屋の出す「そば」という傾向が強く、関西ではそば屋に「うどん」があるのは、別に珍しいことではありません。
さて、「そば」だ「うどん」だと言って、前置きが長くなってしまいましたが、今回は、日本三大そばに数えられる西日本の名物そばの雄、「出雲そば」の美味しいお店を紹介したいと思います。そのお店の名前は、「献上そば 羽根屋本店」。お店の名前に「献上そば」というタイトルがついているのは、何でも、皇室に献上したこともある格式の高い「そば」に由来しているのだそうです。これについて、お店のお品書きには次のように書いてありました。
献上そばの由来
明治40年5月27日、大正天皇がまだ東宮の御時、山陰地方に行啓され、出雲市にご宿泊になった折、弊店の蕎麦を差し上げたところ、田園の香りをうつしたその風味がことのほか御意に召し、それ以来、この蕎麦に「献上蕎麦」の名をお許しになりました。その後、数々の御皇室の方の御食膳に供する光栄に浴し・・・。
羽根屋本店は、JR出雲市駅から徒歩で約10分くらい。出雲市今本町というところにあります。出雲市駅から徒歩で十分歩ける距離ですが、お店の前に大駐車場(というと、少しオーバーか)があり、その駐車場にひっきりなしに車が出入りするところを見ると、この店が繁盛しているのがよく分かります。

■献上そば「羽根屋」の外観
お店に入った時の印象は、鰻の寝床のように細長いお店だなという感じ。少し詰め気味でないと座れない(それは、私の体格が良過ぎるということだろうか・・・)4人掛けのテーブル席が、入り口から奥に向かって一列に並んでいます。突き当たりは、ガラス張りになっており、坪庭が見えます。しかし、後で、確認してみたところ、座席数は約80席と結構な収容人数を誇り、そのうえ、個室まであるそうで、そういえば、1階のテーブル席が満杯になった後は、2階の座敷席や1階奥の部屋などにお客を通していたようでした。
今回、私が注文したのは、「天ぷら割子」1300円なり。「出雲そば」とくれば、やっぱり「割子そば」でしょう。因みに、「割子」というのは、そばを野外で食べるために弁当箱として用いられる重箱ことをいい、昔は正方形や長方形、ひし形などいろいろな形があったそうですが、現在では底に厚みのある丸形の漆器のことをそう呼ぶようです。
「割子そば」は、三段の丸い漆器にそばを盛って出します。麺は、殻の部分まで挽き込んであるため、黒っぽくやや細め。そば粉は、出雲産と茨城産のブレンドということです。伝統の製粉による手打ちの「そば」は、香りが高く風味も程よくという感じ。別の椀には、ネギ、大根おろし、海苔などいわゆる定番ものの薬味が添えられています。
その「割子」に盛られた冷たい「そば」にお好みで薬味を乗せて、それから、1段目の割子に濃いめのそばつゆをかける。かけるというよりは、“の”の字にかけ回すといった方が正しいかも知れません。1段目を食べ終わると、残ったそばつゆは次の椀にかける。そうして、2段目でも残ったつゆは、3段目に行きます。流石に、3段目ともなると、そばつゆの量が少なくなるため、つゆを足すことになります。「割子そば」を美味しくいただくには、そばつゆをかけ過ぎないようにするのがコツだそうです。

■羽根屋製 干しそば(乾麺)2人前箱なし
さて、羽屋屋さんの営業時間は、昼11時から夜8時までです。定休日は1月1日だけとかで、定休日を気することなく、いつ訪れてもOKなお店です。主なメニューですが、「割子そば」3段は660円、「割子そば」は、一段からでもOKで220円です。「三色割子そば」は840円、「五色割子そば」は1300円、「釜あげそば」が630円など。ごく一般的な「天ぷらそば」や「たぬきそば」その他、うどんや一品もの、定食なども各種取り揃えています。さらに、干しそばをお土産として買い求めることも可能です。添付画像の「干しそば(乾麺)2人前箱なし」は、一袋300円です。尚、干しそばをはじめ手打ち生そばなどは、羽根屋さんのHPから通信販売で購入することも出来ます。
「出雲そば」を食べたけど、ちょっと口に合わなかった・・・という経験談を聞くことがあります。よくよく聞いてみると、出雲大社近くの「名物、出雲そば」とかなんとかという大看板を出しているお店に行ったとか。往々にして、観光地にある「名物なんとか」というお店は、看板倒れのことが多いものです。
「出雲そば」を以前食べて、「こんなものか」と思われたあなた。「出雲そば」は美味くないという考えに傾いてしまったアナタ。今度、出雲に来られた時は、ダマされたと思って羽根屋さんに足を運んで見て下さい。そして、これこそ本場の「出雲そば」という味に舌鼓を打ってみてはいかがでしょう。これまでの失地回復どころか、きっと、出雲そばファンになっていただけるのではないでしょうか。
(写真先頭は「羽根屋」の天ぷら割子)
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